「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)をめぐって政府内で解散命令請求に向けた調整が進むなか、文部科学省が、10月12日にも有識者らでつくる宗教法人審議会を開く方向で検討していることがわかった。同審議会の意見を聞いたうえで請求に踏み切る方針だ。
文科省はこれまで、宗教法人法に基づき「報告徴収・質問権」を教団に行使する際や、質問権に基づく調査への回答が不十分だったとして教団に行政罰の「過料」を科すよう東京地裁に求めた際も、事前に同審議会の意見を聞いている。解散命令請求にあたっても同様に意見を聞く必要があると判断したとみられる。
教団の活動について文科省は、昨年からの調査で積み上げた証拠に照らし、同法に基づき裁判所が解散命令を出すことができる「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」ケースに該当すると判断。政府内では現在、解散命令請求の時期についての調整が進められている。
過去に、「法令違反」を理由とする解散命令が確定したのは、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教と、霊視商法詐欺事件で幹部らが摘発された明覚寺の2例のみ。いずれも最高幹部が立件され、組織的な刑事事件として訴追された事例だ。
一方、旧統一教会をめぐってはそうした刑事事件はなく、文科省が解散命令を請求した場合、教団側は全面的に争うとみられる。
解散命令を出すべきかをめぐる審理は非公開で行われ、双方の主張を聴いたうえで裁判所が決定を出す。当事者の双方は不服があれば、高裁、最高裁へと抗告できる。
解散命令が確定すれば、宗教法人という法人格を失って税制優遇がなくなるが、任意団体として宗教活動を続けることはできる。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル